サジーはチベット医学でも「薬草」として紹介されている

サジーは、7千万年以上も前から地球上に生育していたと言われる植物です。

長い間、民間療法の薬草として、世界各地で利用されていたようですが、「薬草」としての最も古い記述に『四部医典』というチベットの医学書があります。

約1300年前に執筆された四部医典は伝説上の秘典と言われており、解読も難解を極めることから一般に広く知れ渡ることはありませんでした。

 

古代の医学書のなかのサジー
古代の医学書のなかのサジー

サジーの登場するチベット医学は、主な治療法が薬物治療であることがあげられます。

  • 薬草
  • 鉱物
  • 動物性原料

の3種類の生薬のうち、98%が薬草で、チベットならではの高山植物が原料となっています。

チベット医学は、チベットのラマ僧らによって伝えられる「伝統医学」でそのベースとなるのはインドのアーユルヴェーダです。

>>>サジーとアーユルヴェーダについてはこちら

ちなみに日本では「仏教医学」と呼ばれています。

日本漢方や中国医学と比べると、日本ではなじみのあるものではないですが、現在もチベット大学やダラムサラの研究所で盛んに研究がなされています。

チベット高山の数少ない薬効のある植物、サジー
チベット高山の数少ない薬効のある植物、サジー

 

 

紀元前、チベット高原に暮らしていた人々は、一部の動物、植物、鉱物に痛みを止め、病気の症状を抑える力があることを生活の中で学んできました。

もちろん、系統的な理論を持っていたわけでも、科学的な根拠を持っていたわけでもありませんが、止血や外傷治療などを火療、塗布、マッサージなどを用いながら解決してきました。

七世紀ごろには

  • 404種類の処方箋
  • 5種類の診断法
  • 6種類の医療器具
  • 4種類の医学書

をまとめ、チベット医学を形成、発展させました。

 

語り継がれてきた民間医療
語り継がれてきた民間医療

 

チベット医学で取り扱われる天然の植物、動物、鉱物を原料として製造されたものなので治療効果がよく、副作用が小さいことが特徴です。

私たち人間もやはり「生き物」である以上、自然原料を体が欲し、治療効果もあがるのでしょう。化学薬品のように「急激に効果を得る」ことは逆に怖いことかもしれません。

自然の薬効をとりいれよう
自然の薬効をとりいれよう

 

サジーはなぜ四部医典に登場したのでしょう?

チベットの高地は雪深く、人間の介入を跳ね除けるほどで、そこでもサジーはひっそりと自生していました。
サジーの特性である「標高1200~2000mのマイナス40度の世界で生息できる生命力の強さ」が人々の生活の中で「民間療法」として浸透し、その結果「薬草」として認められたのでしょう。
「厳しい環境で育つこと」サジーの特徴それこそが「栄養素が豊富な薬草」として用いられている理由です。

『四部医典』今で言うところの「医学書」で、一般的には知られることはありませんでしたが発行後、800年の時を経て1688年に四部医典をもとに『四部医典タンカ全集』というものが作られました。この医学書にもサジーが登場します。

 

医学書に掲載されたサジーの絵画
医学書に掲載されたサジーの絵画

四部医典タンカは、難解な四部医典の内容を膨大な絵画を用いて「わかりやすく図解している」特徴的な医学書です。

高山植物をはじめとする「薬効のある自然原料」が体にどのような作用があるか?そもそも人の体はどんなふうに成長し、病理はどのような経緯で現れるかなどが描かれています。

とはいっても私たち一般庶民には「難解」であることに変わりはありませんが。

 

 

サジーも薬草の1つとして絵が載せられています。上の赤丸で囲まれている植物がサジー(ヒッポファエ=ラムノイデス=サジーの学術名)です。

サジー の学術名=ヒッポファエ=ラムノイデス
サジー の学術名=ヒッポファエ=ラムノイデス