サジーの根は横へ横へと広がっていきます
サジーは年間降雨量が少ない砂漠のような乾き切った大地にも根をはることができます。
普通植物は、雨風にさらされても倒れないように、深く根をはるものですが、サジーは横へ横へと根を伸ばしていきます。
少しでも広い面で栄養を手にしようとするからかもしれません。
その特性がサラサラの砂地を安定させることに一役買っています。
サジーが横に伸ばした根っこによって、砂は崩れ落ちずにすんでいます。
さらに他から飛んできた植物の種が芽を吹いた時も、サジーの根っこが守ってくれます。
このことが「サジーは砂漠化防止に一役買っている」といわれる理由です。
自分もしっかりと生き、周りの植物も共に生きる。
サジー のすごさはこんな特性にも現れています。
サジーはなぜ、生きにくい場所に生きるのか?
基本的な疑問がずっとあります。
「なぜサジーは他の植物が育たないところで育つのか?」
わざわざそんな生きにくい場所で育たなくても、もっと環境の良いところはいくらでもあるのに。
地球上にどれだけの植物があるのでしょう?
国連の発表によると、その数は29万8000種。
そこには様々な生存競争があるでしょう。
サジーはある種「敵のいない場所」を選んだことによって、数千万年もの間、絶滅ぜずに生きてこれたのかもしれません。
競争を避け、厳しい場所に生き、さらに周りの植物を助ける。
人間にもこのような「共生」ができたらいいのになと思うこともあります。
サジーには空気中の窒素を取り込み、栄養にします
サジーの根にはさらに特殊な能力があります。
それは
「空気中から栄養を取る」
という能力です。
一見何もないところから、自分が生きるためのエネルギーを手にする。
まるで錬金術か手品師のようですね。
サジーの根には「フランキア」という放線菌の一種が共生しています。
フランキアという菌は空気中の窒素を取り込み、アンモニア化合体窒素という肥料に変える能力を持っています。
何もないところから栄養を作り出し、それを土地に還元します。
砂地で栄養の少なかった土地がすこしずつ肥えてきます。
そうすれば他の植物も生きることができるようになり、砂漠だった土地が芽吹き、草原になり、林になります。
世界中で砂漠化が進んでいます。
いままで緑の土地だった場所が、森林伐採などのいろんな理由が複合的にからんで、消えていっている現在において、サジーはたった一人で時代の流れに立ち向かっています。
砂漠を開墾し、豊かな緑あふれる土地にする。
サジーは「西部開拓時代」の勇者のように、今日も土地に根をはるのです。